アスペとともに@OLライフ

発達障害を抱えるOLの生き様を、気まぐれ執筆。

【いまさら聞けない】アスペルガー症候群の特性とは?得意なこと・周囲ができるサポートもご紹介

近年、「大人の発達障害」「グレーゾーン」という言葉を耳にすることが多くなり、発達障害に対する関心が高まっています。

「就職したけど仕事がうまくいかない…」「もしかして自分は発達障害?」そんな悩みや疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、発達障害のうち自閉症スペクトラム障害(ASD;アスペルガー症候群を取り上げて、その特性についてご紹介します。

苦手なこと、得意なこと、伸ばしていくべき長所についても解説します。本人も、周囲の人達も、発達障害の理解のためにぜひ最後まで読んでみてくださいね。

 
 

当ブログ主Sの体験談もお伝えしていきます。

それではいってみましょう。

 

アスペルガー症候群」ってなに?

コミュニケーションの障害を特徴とする自閉症スペクトラム障害のうち、知的障害や言語障害を伴わない状態をアスペルガー症候群と呼びます。

アメリカ精神医学会による最新マニュアルDSM-5では、「自閉症」や「アスペルガー症候群」は自閉症スペクトラム障害の中に含まれるものとして扱われています。そのため、本来であれば現在アスペルガー症候群という用語は使われていません。

ただ、主な特性は自閉症スペクトラム障害アスペルガー症候群も酷似していることから、今回は「アスペルガー症候群」という言葉を使って解説していきます。

アスペルガー症候群の特性は、大きく3つに分類することができます。

  1. 社会性の障害
  2. コミュニケーションの障害
  3. 興味の偏り

ひとつずつ解説していきますね。自分が当てはまるかどうか考えながら読んでみてください。

※当てはまるからといってアスペルガー症候群と決めつけるのは早計です。医療機関を受診してきちんとした検査を受けましょう。

社会性の障害

社会性の障害は対人関係における無意識のやりとりが苦手であることを意味します。

無意識のやりとりとは、以下のようなものが挙げられます。

  • 相手と目を合わせること
  • 相手の表情から感情を読み取る・想像すること
  • 人の都合や状況を考えて行動すること
  • 自分・相手の立場を理解すること
  • 相手の話すことに共感すること

例えば上司に仕事の相談をする場面を想像してみてください。本人が「すみません。ここはどのように進めればいいですか?」と尋ねたとします。そうしたら上司は「今忙しいから、あとにしてくれないか」と言い、何も教えてくれませんでした。

みなさんはこれを読んで、何が悪かったのかお分かりになりましたでしょうか。

このような場面の場合、アスペルガー症候群の人は「なんで怒られたんだろう?」と理由を理解できないことが多いです。特に共感性が欠如している人は「教えてくれないなんて、なんてひどい上司だ!」と腹を立てることもあります。

相手の状況や職場の雰囲気よりも、アスペルガー症候群の人は自分の都合を優先してしまうのです。その結果、周囲の人から「空気の読めない人」として見られてしまいます。

また、お客さんや偉い人の前であいさつをすることも苦手です。相手の立場を考えることができないので、失礼な態度を取ってしまい相手を怒らせてしまいます。

そもそも相手の気持ちを感じ取ることに意味を見出せないので、大きな集団にいるよりも、自分のことを理解してくれる少数の仲間さえいればいいと考えるのです。中には1人でいるときのほうが楽と考える人も少なくありません。

コミュニケーションの障害

学校の友人関係や職場の上下関係など、生きているうえで人間関係は欠かせません。定型発達(NOT発達障害)人も、人間関係に悩むことは当然ありますよね。

しかし、定型発達の人よりも、アスペルガー症候群の人は人間関係を築くことがとても苦手です

友達のつくり方がわからず、学校では一人になりがち。職場では上司に報連相することができず、のちに注意を受ける。反対に、相手に過度に近づきすぎたために、相手からウザがられて敬遠されてしまうこともあります。

これは、人への興味の問題ではなく、適切な距離のとり方がわからないことで起こってしまう障害なんです。

豊かな交流を求めても、適度な接し方が理解できず対人スキルを身に着けることができない。そして不適切な行動をとってしまい相手に避けられる。その結果スキルが身に着かず困る…。このように負のループから抜け出せなくなります。

また、人との接し方がわからないために、相手や状況に合わせた行動がとれないことも特徴です。

会議の場では自分の意見ばかり話して、ほかの人の意見を聞かないこともしばしば。そうすると同僚や上司からは「自分勝手な人」「マイペースだから関わりたくない」と思われてしまいます。周りからの評価が下がると本人の自己肯定感が下がり、「自分はこの会社に必要ないのではないか?」と考え、体調を崩したり退職を申し出る人もいます。

決して本人に悪気はありません。学校や職場で一日を過ごすのですから、一定程度の人とは分かり合うことが必要ということも本人は分かっています。行動と気持ちのギャップがあることに、周りの人達には理解していただきたいです

興味の偏り

誰でも興味のあることには没頭できるでしょう。それはとても良いことですし、ストレス発散にも役立ちます。

ただ、アスペルガー症候群の人の場合は異常なほど没頭する傾向が強いのです。集中のスイッチが入ると、食事もトイレもお風呂も睡眠もいらないと感じるほどに、好きなことに没頭してしまうのです。これを過集中といいます。

定型発達の人も、集中すると体力を使いますよね。過集中はその数倍以上、体力を消耗してしまいます。するとストレス発散どころか、生活リズムが崩れ、体調が悪くなります。

”ほどほど”や”加減”といった概念がアスペルガー症候群の人は欠如しているので、時間やお金を注ぎ込んで家族や周囲の人を振り回してしまいます。その挙句、「わがままなやつ」と思われがちに。

また、興味のバランスをとることができないので、興味のない事柄にはまったく耳を貸しません。友達から「この動画、おもしろいよ」と見せてもらっても、「興味ないからいいや」のひとことで会話を終わらせます。友達は当然良い気分にはなりませんから、距離を取ります。しかし社会性の障害で解説したように、アスペルガー症候群の人は相手の気持ちに共感することが困難であるため、本人がそれに気付くことなくいつのまにかひとりぼっちになっていた、ということも珍しくないのです。

 
 

私は仕事に没頭しすぎて、昼休み返上でPCに向き合っていました。

アスペルガー症候群の人の得意なことって?

アスペルガー症候群って、悪いことばっかりじゃん」と思った人もいるのではないでしょうか。

たしかにできないこと・苦手なことだらけかもしれません。しかし視点を変えてみると、ちゃんと得意なことや長所があるのです。

得意なことや長所は、苦手なことの裏に隠れているだけ。それを見つけてあげることができれば、定型発達の人と同様の生活を送ることができます。

以下からはそれらについて解説していきますね。

ルールを伝えれば対人スキルを身に着けられる

一方的に話す、目を合わせて話すことができない、といった困りごとは周囲のフォローによって解決することができます。

上記で挙げた例を思い出してみてください。仕事の相談をしようとしたら、上司は「今忙しいから、あとにしてくれないか」という返事をしましたよね。この上司は決して間違ってはいませんが、アスペルガー症候群の人に伝わる言葉でいうと次のようになります。「今忙しいから、この作業が終わってからでもいいかな?急ぎの相談なら今すぐ聞くよ」

この言葉であれば、①あとで必ず相談を聞いてもらえること(確実性)、②相手が忙しいときは話しかけないほうが良いこと(暗黙の了解)、③急ぎの相談であればすぐに伝えるべきであること(ルールの共有)、の3つを本人は理解できます。

アスペルガー症候群の人は、暗黙の了解やルールを教えてもらえさえすればそれに従うことができます。決してルールを破りたいわけではなく、ルールを知らないだけなのです。むしろルールを破ることには非常に敏感なので、しっかりと学校や職場のルールを伝える必要があります。

会議の時はみんなの意見を順番に聞く、会話するときは目を合わせると内容が伝わりやすくなる、というように伝えてあげると本人は「そうなんだ!じゃあ守らなきゃ」と納得します。理由を交えて説明し、納得してもらえればルールや規則をしっかり守ってくれますよ

また、”あれこれそれ”という代名詞や、”テキトー”、”早めに”という不確かな言葉は定型発達の人にとっては使いやすいものですが、アスペルガー症候群の人にとっては混乱してしまう原因になります。

「ボールペン貸して」「30枚コピーしておいて」「15時までに終わらせて」というように、単語や数字を正確に伝えるとその言葉どおりに指示に従ってくれます。周囲の人達はなるべく正確に指示や注意をするようにしましょう

周囲のフォローを待つだけでは環境はなかなか変わりませんから、本人も意識して聞き返してみましょう。「”あれ”とは何のことでしょうか?」「”早めに”とは午前中でしょうか?午後でも間に合うでしょうか?」と聞けば、周囲はきちんと答えてくれます。答えてもらえたら「教えてくれてありがとうございます」と相手にお礼を伝えるとベリーグッドです。

ルールの伝達と、正確な言葉の使用。これらがアスペルガー症候群の人にとって社会性の障害を補うためのキーポイントとなります。

思ったことを素直に話すことができる

コミュニケーションの障害により「自分勝手でわがまま」と思われがちなアスペルガー症候群

しかし、「自分勝手でわがまま」なのではなく「自分の意見をはっきり言える」と考えてみたらどうでしょう。

場の雰囲気に流されず、間違っていると思ったら正直に伝えられるのは良いことです。たとえ相手が上司や友達であっても、間違っていることをそのままにしておくのは良い人間関係とは言えませんよね。

ただ、伝えるタイミングや声のトーンは気を付けなければなりません。相手を憤慨させてしまわないように、第三者が間に入るのもひとつの手でしょう。

また、自分の意見を言えるということは、嘘をつくことができないことを意味しています

嘘は状況によって悪いもの・良いものと捉えられますが、社交辞令以外であればアスペルガー症候群の人は素直に対話することができます。人をだますような嘘をつくことができないのは、人間関係を築くうえでとても良い長所と言えますね。

積極的に行動する/チャレンジ精神が旺盛

興味のあることには没頭…すなわち、好きなことへの好奇心が強く、情熱が強いのです。

興味のないことに時間を費やすよりも、自分の好きなことへ情熱を注ぐほうが誰でもうれしいしテンションが上がりますよね。虫が好きなら昆虫採集に時間を割いて、絵を描くことが好きならずっとキャンバスに向き合いましょう。定型発達の人があきらめてしまうようなことでも、アスペルガー症候群の人ならエネルギーを注いで目標を達成できるでしょう。将来は有名な研究者やプロになっているかもしれません。

興味の対象が一点に集中してしまうことから、この特性はシングル・フォーカスと呼ばれています。全体を認識する力が弱い代わりに、興味のあるひとつのことだけに集中する。これは決して悪いことではありません。

あの有名な研究者であるエジソンアインシュタインApple創業者の一人スティーブ・ジョブズも、発達障害だったと言われています。彼らが研究や起業で成功し有名になったのは、好きなことにチャレンジして、それに情熱を注いだからでしょう。

アスペルガー症候群の人は、興味のあることにとことんこだわりましょう。苦手な作業は、それが得意なほかの人に任せればいいのです。「私は得意な商品開発をするから、あなたの得意な営業活動は任せてもいい?」というように、仕事を割り振ってしまえばいいのです。

多くの業務を抱える職業の人はなかなか難しいと思いますが、もし本人があれもこれもと多くの仕事で大変そうにしていたら、周囲の人たちは本人の得意なことだけをやらせるように配慮してあげてください。きっと効率が良くなって、全体の業務もスムーズに進みますよ。

 
 

履歴書の自己PRに「行動力があって、他者がやらないことも積極的に行う」と書いたら内定もらえました

最後に

今回はアスペルガー症候群について解説しました。いかがだったでしょうか?

アスペルガー症候群は、”発達障害”という言葉から悪いイメージを持たれやすいですが、決してそんなことはありません。

ルールを伝えれば従ってくれる。嘘がつけない。興味を持てばとことん追求する。すべて長所であり、本人が成長する可能性は無限大です。

冒頭でもお伝えしたように、「大人の発達障害」や「グレーゾーン」という言葉が広まっていることで、発達障害への関心が高まっています。もう発達障害は珍しいものではなく、偏見や差別の対象でもなく、この社会を構成するひとつの存在なのです。

自分の大切な人が発達障害だったら?と考えて、人間関係のあり方を意識してみてくださいね。

 

またね🌸